小久保 茉央
異なる文化の中で生活し、新たな価値観に触れることは、私にとって大きな楽しみです。秋田県での大学生活やフィンランドでの留学など、さまざまな地域での暮らしは、その土地のことはもちろん、生まれ育った東京や日本を知る機会でもありました。今回のニューヨーク研修でも、特別で充実したプログラムで、1週間とは思えないくらいに様々な気づきを得ることができました。これまで暮らしてきた東京、秋田、フィンランドでの生活や文化と照らし合わせながら、ニューヨークの街を歩き、特に印象に残ったのは、働き方とコミュニティ開発への考え方の2点です。

1つ目の働き方について、今回のニューヨーク研修では、アメリカの文化とそこに住む人々の暮らしを間近で体感することができました。この研修の魅力は、高野さんや原夫妻のお知り合いで、現地に住む方々と出会い、お話をする機会がたくさんあることです。現地の方とお話しするなど、普通の旅行ではなかなか得られない機会です。ニューヨークで働かれている日本人の方や、日本での在住経験があるアメリカ出身の方など、バックグラウンドは様々です。そして、お仕事も商社、領事館にお勤めの方、テレビ関係、学校の先生、演奏家など、幅広い分野の職業の方のお話を聞くことができました。私はここ最近、自分のキャリアや働き方について考えることが多かったので、非常に勉強になり、とても嬉しかったです。働き方に関して驚いた点は、ニューヨークの働き方は北欧のようなワークライフバランスを重視というより、競争社会で長時間労働という印象を受け、どちらかといえば日本に近いと感じました。フィンランドでは仕事は生活の一部に過ぎず、趣味や家族との時間へ重きを置いている人が多いですが、ニューヨークでは、働くことが自己実現や人生の成功に直結している印象を受けました。もちろん個人差はあるとは思いますが、私はアメリカもフィンランドも同じようなワークスタイルだと予想していたので、この違いには驚きました。これからの人生で、自分は何に価値を見出し、どのように仕事と向き合っていくかを改めて考えさせられるきっかけとなりました。
2つ目はコミュニティ開発についてです。私は学部で秋田をはじめとする日本の地方のコミュニティ開発について研究をしていたので、キャロルさんの活動は特に印象的に残っています。最終日は、ニューヨーク郊外のウェストンにあるキャロルさんのご自宅と彼女が携わっているコミュニティファームや教育施設を視察しました。コミュニティファームでは、自分達のための花や野菜だけでなく、貧しい人々のための野菜も育てていました。また教育施設では、子どもたち向けのサマープログラムが行われていました。古いファームハウスを改築した建物では、1階部分が子どもたちの工作やアートのアクティビティに使われており、2階は住居として貸し出されていました。そこでの家賃は、コミュニティの活動に還元されます。夏は、日中に子供達がアクティビティのために一階部分を使用したり、住人はヤギの簡単なお世話や除雪剤の散布などの仕事をする代わりに、安く借りられるというシステムでした。このように住んでいる人も自分の家賃が社会のために使われ、運営側にとっても日々の管理をサポートしてくれる人がいるという双方にとってプラスな関係性が新鮮でした。
また、教育施設でボランティアをしている高校生たちも2年目からはアルバイトとして給料をもらえたり、フルタイムのマネージャーを雇っていました。ファームハウスでは、そこで暮らしていたアーティストの絵を販売したり、パーティやイベントを開催してコミュニティの輪を広げながら、基金を集めるなど、経済的に自立しながら、地域の雇用を生み出す工夫がいくつもみられました。秋田では、自治体の補助金をベースに成り立っている活動が多く、学生はボランティアで雇われるケースが多々見受けられたので、このようなコミュニティ活動の持続可能性を感じました。
そしてなによりも、キャロルさん、そして高野さん、原夫妻のように、社会のために人生の時間を使う大人の姿を近くで見ることができたことがとても勉強になりました。
このような素敵な機会を与えてくださった原哲明様、原秀子様、高橋京子様、勤労青少年協会の皆様、そして関わってくださった全ての方に感謝しています。ありがとうございました。



